Birth Planバースプラン
例えば結婚式では、花嫁さんのご希望を伺った上で、プランナーがウェディングプランを立てます。まず理想をお聞きして、現実が許す範囲でどれだけ実現できるかを考え、これは可能ですとか、ここまでならこういう形でならできますという説明をして、納得していただけるよう打ち合わせをします(これをインフォームド・コンセントといいます)。
バースプランもこれと同じです。
出産はリスクを伴う医療行為でもあるので、すべての方が思い通りの分娩ができるとは限りません。しかし、理想やご希望を伺うことで、それにどう対応できるのか、どこまで実現することが可能かを知っていただき、不安を取り除いたり、また、実現のための準備に役立てたいと思っています。これは、患者さまと病院とのお産の前の打ち合わせです。
たくさんの方のご希望には、次のようなものがあります。
- 「できるだけ誰かが近くにいてほしい。ひとりにしないでほしい。」
- 私たちは、分娩中の辛いとき、人員の許す限り、そばにいたいと考えています。多くの者がこの職業を選んだ動機でもあります。そばを離れることがあっても、必ず誰かがモニターを見ています。不安なときや辛いときはナースコールを押してください。すぐに駆けつけます。腰をさすってほしい、手を握っていてほしいなど、遠慮なくおっしゃってください。
- 「お産の進み具合をこまめに知りたい。」
- お産は進み具合や大変さに個人差が大きいため、台風の進路のように「いつ生まれるか」のような将来予測では幅が出てしまいます。でも、現在どの地点にいるかに関しては、かなり正確にお知らせすることができます。できるだけわかりやすくご説明いたしますので、遠慮なくおたずねください。
- 「何か問題があれば知りたい。」
「何か処置をするときには説明してほしい。」 - よい情報も、ときにあまりよくない情報も(例えば、赤ちゃんの元気が疑わしいなど)、患者さまにご協力いただくためにも、できれば情報を共有してほしいと考えています。理解しにくいことがあれば、できるだけわかりやすくご説明いたします。むしろ、不安や疑問についてご質問いただければ、説明しご理解いただける機会が得られることになるためとてもありがたいです。
- 「何か問題があれば知りたい。」
- 「会陰切開はできるだけしてほしくない。」
- 私たちもできるだけやらないで済めばと思っています。切開するときは、このままでは会陰に裂傷が入ってしまうと予測されるときです。ご説明の上承諾を得るようにしておりますが、裂傷もできるだけ丁寧に縫合しますので、「裂傷が入っても、可能ならトライしてほしい」ときにはおっしゃってください。一般的に、切開を避けると、分娩時間が延長します。赤ちゃんの心音の低下等があるときなどは、時間の短縮のために、やむを得ずご希望に添えないこともあります。
- 「分娩室では好きな音楽をかけたい。」
「アロマを焚いてほしい。」
「部屋を暗めにしてほしい。」
「分娩中にスマホを使いたい。」 - すべて、対応可能です。CDプレーヤー、いくつかのアロマオイルとアロマポットは病院で準備しております。
- 「分娩室では好きな音楽をかけたい。」
- 「呼吸の仕方などをアドバイスしてほしい。」
「褒めてほしい。責めないでほしい。」 - 呼吸の仕方や、リラックスの仕方を説明するのは、アスリートへのコーチングと同じで、一人ひとりに合わせなければいけません。そのため、できるだけわかりやすくご説明した上で、「こうしたほうがいい」という改善点をご提示するように心がけています。もちろん、上手くいっているときに、褒めて伸ばすのは私たちの喜びでもあります。
- 「呼吸の仕方などをアドバイスしてほしい。」
- 「生まれる瞬間の動画撮影、家族写真を撮ってほしい。」
- 皆さまに、動画と家族写真はお撮りしています。また、カメラ等の持ち込みもOKです。ご希望があれば、スタッフがそのカメラで撮影することもできます。その場にいるスタッフに指示してください。また、リモートによる立ち会いもできます。
- 「夫にへその緒を切ってほしい。」
- 可能です。とくに準備や練習はいりません。スパッと1回で上手くいかず何回かで切ることになっても、それもよい記念です。
- 「赤ちゃんを生まれてすぐに抱っこしたい。」
「なるべく早くお乳を吸わせたい。」 - 生まれてすぐに、お腹の上に赤ちゃんをおのせします。その姿勢で抱っこすることも可能です。赤ちゃんが生まれた後に胎盤の剥離や止血などの処置があるため、一旦赤ちゃんはお預かりし、処置が終わってからすぐお連れしますので、母乳を吸わせることもできます。
- 「赤ちゃんを生まれてすぐに抱っこしたい。」
- 「胎盤を見たい。」
- 可能です。触ったり撮影したりすることもできます。
- 「できるだけ早く母児同室にしたい。」
「母児同室は翌日がいい。」
「夜間は赤ちゃんを預けたい。」
「疲れているときは、赤ちゃんを預かってほしい。」 - 当院での基本的なプランは、出生当日は、分娩室では赤ちゃんといっしょに過ごしていただき、自分のお部屋に戻られた後は新生児室でお預かり。翌日からは、昼間は母児同室、夜間は新生児室でお預かりしています。もちろん、ご希望に合わせて対応しますので、昼間でもお預かりできますし、逆に夜間でも母児同室が可能です。遠慮なくご希望をお伝えください。その日の体調に合わせての変更も可能です。
- 「できるだけ早く母児同室にしたい。」
- 「母乳の指導を受けたい。」
「母乳で育てたい。」
「母乳にはこだわっていないので混合でも構わない。」 -
極力母乳だけで行きたい。できるだけ母乳で、足りない分はミルクで。母乳とミルクを上手に使い分けたい。断乳してミルクで育てたい。それぞれにご希望があり、また母乳の分泌や乳房の状態によって方針が変わることもあるでしょう。
出産翌日から、毎日助産師が乳房チェックにお部屋にまいりますのでご相談ください。また退院後のために、入院中に自分でできる乳房のお手入れの方法(SMC法)をトレーニングしていただいています。乳房ケアのための別館メヌエットもあります。
- 「母乳の指導を受けたい。」
- 「立ち会い分娩をしたい。家族も立ち会いしてほしい。」
- 可能です。ご家族の方の範囲や人数などは、コロナの流行状況によって変更することがあります。
このようなことを、多くの妊婦さまがご希望されますので、短くご説明を添えてみました。何かあなたのご希望や、ご不安なこと、詳しく説明してほしいことがあれば、外来受診時や入院時に、口頭や文章でメッセージとしてお伝えいただければと思います。その都度対応いたします。
打ち合わせは、気になることがあれば何度でも構いません。助産師外来などをご利用いただくと、ゆっくり時間が取れるかと思います。